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Vaporwave、Future FunkからNewtroまでのレトロリバイバルをおさらい

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Vaporwave、Future FunkからNewtroまでのレトロリバイバルをおさらい




Vaporwave、Future FunkからNewtroまでのレトロリバイバルをおさらい

韓国で2019年のマーケティングのトレンドにも選ばれたNewtroブームの勢いは2020年になってもまだまだ止まりません。
CHUNG HAのPLAYのコンセプトクリップや90年代を意識したSSAK3のデビューなどNewtroは、今のK-POPに欠かせないアートワークの1つになっています。

Newtroとは、「現在や未来(New)」と「過去(Retro)」を融合させた「新しい過去」を意味する韓国の新造語。
Newtroは韓国で大きなトレンドになり、2018年から2019年にかけてファッション、インテリア、グラフィック、ゲーム、カフェ、旅行など韓国カルチャーの幅広い分野に浸透して、ビンテージスタイルのリバイバル・ブームが巻き起こっています。

このNewtroブームの背景には、VaporwaveやFuture Funkが影響していると言われています。

今回はNewtroがどのように生まれたかという背景をNewtroをVaporwaveやFuture Funkを振り返りながらおさらいしてみます。

懐かしさを切り刻み再構築したVaporwave(ヴェイパーウェイヴ)の登場

80年代、90年代の音楽素材を集めた素材を切り貼りする「チョップド&スクリュード」という手法を用いて楽曲をピッチダウンさせたり、特定のフレーズをループさせて作られた音楽やアートワークが2010年代初頭にインターネット上の音楽コミュニティから生まれました。
このジャンルはVaporwave(ヴェイパーウェイヴ)と言われインターネット上で大きく注目されました。

アートワークは主に、80年代から90年代に流通した製品、旧式コンピュータによるCGや旧式コンピュータそのもの、VHSビデオ、カセットテープ、サイバーパンク、古典彫刻など、過去大量に流通し消費されたものがモチーフとして用いられました。

  • 伸び切ったカセットテープで聞くような音。
  • ザラザラとした感触のVHS的映像。
  • 古いカクカクしたアニメやゲームのグラフィック。

こんな感じに過去に大量消費されたローファイな素材を継ぎはぎして作ったものがどこか懐かしく人々から注目されました。

2011年にVektroidがMacintosh Plus名義で発表したFloral Shoppe (フローラルの専門店)は、Vaporwaveのを代表する不朽の名作とも言われています。そのカセットテープは、15万円前後で取引されてもはや現代アートみたいだと言われました。

このアルバムFloral Shoppe (フローラルの専門店)の2曲目「リサフランク420/現代のコンピュー」はVaporwaveの代表作でヘリオス像を顔差し替えたアートワークやラップなどとマッシュアップしたヴァージョン、リミックスなどが別名義の人々により次々生まれました。
こういった別ヴァージョンはブートと呼ばれています。

Vaporwaveの作品を作るクリエイターは、元々の原曲やサンプリング素材元から許可を取ったものではなく遊びの延長で素材をチョップド&スクリュードしピッチを変えたりしてコラージュして作品を作っていてさらにその作品を加工したり映像を付けたりとデジタル作品ならではの乱用の上に成り立つ作品が拡散されて音楽だけでなく映像との組み合わせ込みで楽しむ実験的な創作がインターネット空間にひろがっていきました。

こちらは「リサフランク420/現代のコンピュー」に80年代のポリゴン映像を使ったMV。
このように、ネットで拾った古い広告映像やアニメーションを、リリースされた作品に勝手に組み合わせるクリエイターがたくさん増えました。

YouTubeで「リサフランク420」で検索すると今でも様々なアートワークやリミックスが今でもアップし続けられています。
音源に自分の作った映像を当てはめるのはTikTokにも似たものを感じますね。

過去大量に流通し消費されたものを発掘し切り刻んで再構築して新しい作品を作り出すというVaporwaveは、企業の広告やメジャーアーティストの作品にも影響を与えました。
これまで古いロゴやCMをサンプリングしていたVaporwaveは、逆に企業サイドからその“空気感”を引用されるほどに成長しました。
しかしメインストリームに注目されることでポップカルチャーへのアンチテーゼとして無許可の乱用で広がったVaporwaveは初期の自由さを失い失速していきました。

韓国のヨギーニSang-A yoniniによるVaporwaveなエアロビクスの映像。

ポップカルチャーに歩み寄ったFuture Funkの登場

素材の元ネタの意味とは関係なしに切り刻んで再構築していたVaporwaveのクリエイター中から日本の80年代シティ・ポップを主なサンプリングネタにしたよりダンサブルなサウンドを生み出すクリエーターも現れはじめました。
これがVaporwaveから派生したFuture Funkというサブジャンルです。
Future Funkは、もんやりしていたVaporwaveと比べアッパーなディスコ調のミックスも多く、一般層にもファンを広げました。

ヒップホップアーティストが産業用のレコードを堀りはじめたように、Future Funkアーティストは、日本のコマーシャルで使われていたバブリーなシティ・ポップを再評価し日本のレコードの価格は急上昇しました。

秋元 薫のDress DownをサンプリングしたMACROSS 82-99の曲は大ヒットしVaporwaveの時と同じように色んなクリエイターが映像を作りました。

こちらは、日本のストリートの映像とセーラムーンのダンスレッスンの映像をコラージュしたマクロス MACROSS 82-99 and Yung Bae feat. ✿ Harrison ✿
日本語わからない人が作っているから歌詞と映像は無関係になっています。

こんな感じで様々な映像のヴァージョンのDress Downが次々と発表されました。
海外のFuture Funk系DJから再ブレイクした秋元薫のレコードの価格は急上昇し2020年にはDress Downが収録しているアルバム『cologne』がリマスタリング仕様でタワーレコードから限定で再発されました。
https://tower.jp/article/feature_item/2020/03/12/0703

この時間差のヒットには、Dress Downを作曲した松本氏も驚いていました。

Vaporwaveがポップカルチャーへのアンチテーゼだったのに対し、Future Funkはポップカルチャーへの愛や憧れに変わってきました。
過去の作品をズタズタに切り刻んできたVaporwaveとは違いFuture Funkは過去の作品を引用することで再び過去の名作を掘り起こし未来に繋いでいくという現象を起こしたのです。

その結果秋元薫や竹内まりあなどの楽曲はインターネット版のレア・グルーヴと言われ、日本のニューミュージックやポップスへの評価が世界的に高まった一因だとも言われています。

イギリスの音楽プロデューサー・TANUKIもそのクリエーターのひとりで、2015年にリリースした『BABYBABYの夢』は、YouTubeでも紹介されて1000万再生以上されています。
TANUKIは、各国のFuture Funkクリエーターたちとともに来日し、実際に80年代日本アニメの楽曲を制作していたミュージシャンたちと、共同制作をするイベントにも参加しました。
こうして過去の素材を使用するだけでなく引用したりして新しい作品を作る動きが出来てきました。

竹内まりあの曲を使ったFuture Funkの作り方。
Future Funkを作ってみたい方は参考にどうぞ。

韓国人クリエイターNight Tempoの登場

こうしてインターネット上でVaporwaveやFuture Funkが生まれた中、韓国からNight Tempoというクリエイターが現れました。

Night Tempoは、韓国人プロデューサー、DJで80年代のジャパニーズ・シティ・ポップ、昭和歌謡や和モノ・ディスコ・チューンを再構築してフューチャー・ファンクの基礎を築きました。

2018年にミックス・テープ「Nighty Tape86ʼ」をリリース。
竹内まりやの「Plastic Love」をリエディットし、欧米でシ ティ・ポップ・ブームをネット中心に巻き起こしました。

Night Tempoは、中森明菜や近藤真彦、美空ひばり、和田アキ子、泰葉やBaBeなどの曲にダンスミュージックの要素を加えてアレンジしました。
日本の80年代歌謡曲を現代にも通じるように(既存の曲を“フロア仕様”にアップデートすること)し、「昭和グルーヴ」と銘打って日本、韓国のみならずアメリカでも人気を博しました。
Night Tempoの活躍はFuture Funkから韓国のNewtroの誕生につながってきました。

韓国で生まれたNewtro(ニュトロ、ニュートロ)ブーム

このようなインターネット上でのクリエイターの作品が韓国の若い世代の感性にはまり「現在や未来(New)」と「過去(Retro)」を融合させた「新しい過去」を意味するNewtroという韓国の新造語が生まれました。

Newtroは音楽だけでなくファッション、インテリア、グラフィック、ゲーム、カフェ、メイク、旅行など韓国カルチャーの幅広い分野に浸透して、ビンテージスタイルのリバイバル・ブームが巻き起こりました。

この傾向は、観光を含む韓国の幅広い産業にも影響を及ぼしました。
韓国の若い人々は古い村や歴史的な都市部を訪れて本物のビンテージ体験を再現しようとしました。

それと同時に、懐かしの歌謡曲や韓国産AORを再発掘する流れも徐々に広がりました。そして、ミレニアル世代のアーティストたちに発見された過去の音楽たちが、カバー曲として、あるいは再構築された新曲として、K-POP市場に姿を表すようになった。

先日デビューしたSSAK3が90年代に活躍したHip HopデュオDEUX(듀스)の代表曲「夏の中で(여름안에서)」をカバーするような動きはこのNewtroブームの流れです。

Newtroブームの中、韓国では過去の韓国産シティポップが再び注目され始めたり、Newtroという新概念のもとシティポップが現代に再解釈されたりしています。

韓国のシティポップ歌手として再びスポットライトを浴びることとなったのは往年のアーティスト「キム・ヒョンチョル」です。

「韓国シティポップの元祖」と呼ばれる歌手、キム・ヒョンチョルが1989年にリリースした楽曲「久しぶりに」を人気歌手・Georgeがカバー、ヒットしたことが後押しとなり、10年以上のブランクを経て韓国音楽界に再登場することとになりました。
キム・ヒョンチョルのアルバム『10th – preview』のゲストには、Georgeの他にもアイドルグループ・MAMAMOOのファサ&フィイン、女性デュオ・屋上月光(OKDAL)、女性ソロシンガー・SOLEと、現在のK-POPシーンを牽引するアーティストたちが名を連ねました。

この曲を聴いた後はなぜか坂本慎太郎の「まともがわからない」が聴きたくなるので貼っておきます。

Newtro系K-POPの走りといえば、2017年にIUが発表した「Last Night Story(昨夜の話)」と言われています。当時はまだNewtroという言葉は誕生していなかったのですが、「1993年生まれのIUによる、1987年の男性アイドルグループ楽曲の、レトロ調な再解釈カバー」という点で、Newtro的な曲と言われています。

IU(아이유) _ 어젯밤 이야기 : Last night story

「Last Night Story(昨夜の話)」は、日本では「オジャパメン」というタイトルで、『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ系)で知名度を上げた曲です。
元々は消防車(ソバンチャ)という男性アイドルグループの楽曲です。消防車は韓国初の男性アイドルグループとも言われており、当時は女学生を中心に人気がありました。

そしてDIAが2019年にリリースしたアルバムのタイトルはモロ「Newtro」。
80年-90年代にインスパイアされたスタイリングやファッションが取り入れられました。

Newtro

アイドル系女性シンガーの楽曲にもNewtro系ソングはあります。
楽曲だけでなくミュージックビデオにもNewtro的要素が存分に含まれているものもあります。
Wonder Girls出身メンバー・ユビンのソロデビュー曲「淑女」は、ディスコ風の曲をバックに、セル画アニメ風の映像や古い車、サイバーパンク風の町並みなど、Future Funkの影響を存分に受けたMVになっていました。

中国版TikTokのアニメARフィルター「变身漫画」というフィルターは、Newtro、Vaporwave、Future Funkには無関心の人にもなんだか古くて新しい感覚で注目されています。

このNewtroブームがいつまで続くかわかりませんが2020年はまだまだレトロビンテージなNewtroの影響を受けた作品やサービスが出てきそうなので楽しみです。



banno

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Photographer

国内外のパーティーやイベント撮影をしている名古屋のカメラマン。
K-POPフェスNESTALオフィシャルカメラマン。

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